
- 主要構造部と構造耐力上主要な部分の法文
- それぞれの具体的な部位
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法文
建築基準法 第2条第1項第五号 主要構造部
壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。
主に防火的な観点で考えたときに主要と考えらる建築物の部分です。
建築基準法施行令 第1条第1項第三号 構造耐力上主要な部分
基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。
主に構造的な観点で考えたときに主要と考えられる建築物の部分です。
それぞれの具体的な部位
鉄骨造、鉄筋コンクリート造でよく使う部位の名称で整理してみました。
主要構造部〇 かつ 構造耐力上主要な部分✕
- 階段(局所的な階段、屋外階段を除く)
- 外壁(建築物の鉛直荷重や地震力等の水平力を負担しないもの)
主要構造部✕ かつ 構造耐力上主要な部分〇
- 基礎ぐい(地盤改良を含めた地業全般が含まれると考えられます)
- 基礎フーチング
- 小梁
- 間柱
- 1階床(構造スラブ)
- ピット床(1階床下にある設備ピットの床のようなもの(構造スラブ))
- 斜材(筋かい、方づえ、火打材など)
主要構造部〇 かつ 構造耐力上主要な部分〇
- 大梁
- 主柱(間柱でない主架構の柱)
- 耐震壁
- 外壁(建築物の鉛直荷重や地震力等の水平力を負担するもの)
- 構造スラブ(基準階、屋根とも)
主要構造部✕ かつ 構造耐力上主要な部分✕
- 1階床(構造スラブでない土間コンクリート)
- ピット床(構造スラブでない土間コンクリート)
- 間仕切壁(構造上重要でなく建築物の鉛直荷重や地震力等の水平力を負担しないもの)
- それぞれの法文に登場する部位の単語が異なるので、適宜置き換えています
- 個人の見解が入ります

あとがき
本記事を書くにあたって疑問に感じたことを記します
RC造のそで壁は構造耐力上主要な部分?
ラーメン構造のRC造の建築物において、そで壁がある場合は耐震スリットを設けられていることが多いと思います。
建築基準法施行令 第1条第1項第三号には・・・建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるもの・・・とあるため、スリットを設けているそで壁はおそらく構造耐力上主要な部分には含まれません。
ただし、そで壁長さが短く物理的に耐震スリットが設けられないため耐震スリットなしのそで壁にした場合、地震を支えるものとして構造耐力上主要な部分に該当するのでしょうか?
RC造に間柱は存在するのか?
間柱は建築基準法上は定義されていない用語なので、個人的に以下としてみます
主に壁重量や風荷重を支えるものを間柱と言うことが多いので大きくは間違っていないと思います。
RC造ラーメン構造の建築物において、スパンが長い場合に柱(大梁があるのは一方向のみ)を設けることがありますが、これを間柱と呼ぶのでしょうか?
S造の間柱とは異なり、大梁がある方向には地震力を負担するので間柱ではない柱であり、構造耐力上主要な部分にあたると考えているのですが、皆様いかがでしょうか?
建築基準法に登場する似て非なる用語
主要構造部と構造耐力上主要な部分
どちらにも構造の二文字があるため類似の用語のように考えていましたが、ここで頭の中を整理してみます