サラリーマン一級建築士が語る【Google MAPへ足跡を残す仕事】

Building

自分の進路を決定するのには勇気がいります。3K(きつい、汚い、危険)と呼ばれる建設業を選択するのはさらに勇気がいると思います。

しかし、動くお金が大きい分だけ魅力のある業界でもあります。

この記事では建設業に実際に身を置く者として、一級建築士の観点から設計に関する仕事の紹介をします。

建築士と建築家の違い

Wikipediaにはそれぞれ次のように記載されています。

建築士

建築士(けんちくし、英語: architecture license)は、建築物の設計および工事監理を行う職業の資格、あるいはその資格を持った者である。

引用:Wikipediaより

建築士法の中では、木造建築士・二級建築士・一級建築士がそれぞれ定義されており、それぞれの資格に応じて設計できる建物が定められています。

さらに一級建築士を取得した上で、専門分野ごとに構造設計一級建築士と設備設計一級建築士があります。

一人前に「設計」をするためには建築士を取得することは必須なのですが、建設業で仕事をしていれば他の業種でも一級建築士を取得することが求められることがあります。

しかし、難易度は高く皆さん難儀しているのが実情です。僕は取得に5年の年月を要したので多くは語れませんが、早く取得することに越したことはありません。

ちなみに一級建築士は、取っても食えないが取らないと気持ち悪いことから「足の裏の米粒」と揶揄されますが、他業界の人からは凄いね扱いされることもしばしばあります。

建築家

建築家(けんちくか、architect)は、一般に建築における建物の設計や工事の監理などを職業とする専門家のことである。

引用:Wikipediaより

この言葉は僕の周囲で使われることはなく、テレビや新聞などのメディアの中の用語という感じです。

Wikipediaを見ると建築士と変わらない印象ですが、建設業界内では安藤忠雄さんや隈研吾さんのような著名人に対して使われることが多く、僕のようなサラリーマン一級建築士は建築家と呼ばれることはありません。

Wikipediaによるとarchitectの語源は、ギリシャ語のチーフ建設者(arkhi-、チーフ + tekton、建設者)から、さらにラテンのarchitectusから派生しているそうです。

建築士はarchitecture licenseと書かれていますが、海外では両方ともarchitectで日本語のような区別はなさそうです。

昔聞いた話では、archiectは「創造する」という意味があったらしく、それを「建築」と訳したのが土木(Civil)業界最大の過ちだそうです。学生時代に聞いた話しですが未だにネタ的に使えるので勉学もばかになりません。

まとめ

・建築士:国家資格,その資格を持っている人,足の裏の米粒

・建築家:著名人,芸術家,日常的に接することはない

意匠と構造と設備

設計とは次の三つの分野によって成り立っています。

意匠

人で例えると髪型や体型です。

皆さんが接するほとんどの設計者はこの分野の人です。

建物の形や間取り、素材などの見た目や機能に影響するところを決める人で、他の二分野も含めて取りまとめ役でもあります。建築を学ぶ人であれば学生時代に一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

就職先は、設計事務所,ゼネコンの設計部は当然ながら、デベロッパーの企画部門など多岐にわたります。さらに細分化すると設計事務所の中には、組織設計事務所やアトリエ系事務所などもっと多くの選択肢があります。

学校でも他の分野に比べて人数が多いと思いますが、その分だけ競争率が高く例えば設計部を目指してゼネコンに入社しても、現場に配属されてしまうということも多々有ります。

それでも三分野の中では花形であり希望者が絶えないのも事実です。

純粋に意匠設計に没頭したい人は設計事務所を希望すると良いでしょう。

構造

人で例えると骨や筋肉です。

建築学生でもこの分野の存在を知らない人は多いのではないでしょうか。

意匠設計者がいくらかっこいい建物を考えても、地球上では万有引力の法則に逆らうことはできません。

建物の中で生活をする皆さんの命を守るのがこの分野の仕事です。(僕はこの分野が専門なので力がはいります。)

骨や筋肉は太ければ太いほど良いというわけではありません。アイドルにはアイドルなりの、アスリートにはアスリートなりの適した脚や腕の太さがかっこいいわけです。

構造設計とは知識と数字を駆使してその適切な太さを求める、意匠設計者が考えた素晴らしい建物を人知れず支える、そんなところが醍醐味です。

この分野は希望者が少ないため就職には有利だと思います。

しかし、ひとつ間違えると人の命を危険にさらしてしまうプレッシャーとの戦いもあり、フェードアウトしていく人が多いことも事実です。

この技術を身につければ独立することも可能なので、サラリーマン時代が苦しくてもフリーランスへのステップだと捉えて踏ん張りましょう。

ちなみに僕の専門はこの分野で構造設計を生業としています。

設備

人で例えると内臓です。

意匠設計者がかっこいい体型を考える、構造設計者が適切な骨と筋肉の太さを計算する、それだけで建物は機能せず、内臓が入って初めて人間として動きます。

エアコンや水道のような設備や、電気関係の設備を適切に配置して皆さんが快適に暮らせるようにする。それがこの分野の仕事です。

ゼネコンの設備担当者は「設計者」と「施工者」の両面を持っており、自分が考えた物を自分で造る醍醐味があります。

ちなみに、意匠と構造について設計者は「監理者」という立場で現場に関わるので、施工者は別人で建物を実際に造ることはしません。

この分野も慢性的な人材不足なので就職には有利でしょう。

建築以外の分野から入ってくる人もいるので、他分野勉強していても建物の設計に携わることは可能です。

まとめ

・意 匠:髪型,体型

・構 造:骨,筋肉

・設 備:内臓

僕が建築を選んだ理由

僕が受験生だった時は第一志望は情報系の学部で、最初に受けた大学は、根拠のない自信はあったのですが落ちました。

そこで自暴自棄になった僕は、同じ大学の中では偏差値の高いほうである建築学科を選びました。

そして、施工管理を目指してゼネコンに入社したのに、なぜかいきなり構造設計に配属されて今に至ります。

動機が不純なので後悔することはありましたし、希望通りの配属にもならずやる気がない時期もありましたが、なんだかんだで十数年経ちました。(ちなみに、僕の友人にはドラマの影響で建築を目指した人もいました。)

石の上にも三年。桃栗三年柿八年。継続は力なり。

そんな言葉が似合う業界だと思いますが、その先には数億円、数十億円のプロジェクトに関わることもできます。そして「地図に残る仕事」でもあります。(実際に僕が設計した建物はGoogle MAPに載っています。)

実際に建っている建物の前で言える一言  「この建物は僕が設計したんだ」

あとがき

僕の文章力ではうまく伝えられませんでしたが、要するに皆さん建設業界で働きませんか?ということを言いたいだけです。ブログが上達したら少しずつ、リライトしていこうと思います。