一級建築士が考える。サラリーマンと長時間労働と僕。

Building

長時間労働からの脱却を図るサラリーマンは多いのではないでしょうか。2019年4月1日に施行された働き方改革関連法案で、5年間の猶予が設けられた建設業に生息する僕にとって長時間労働は避けて通れない道であり、一級建築士といえどもそこに例外はありません。

この記事では、長時間労働から徐々に脱却しつつある普通のサラリーマンの僕が実践している方法を2つ紹介します。

働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。

引用:首相官邸「働き方改革の実現」

かつての僕と今の僕

一ヶ月の残業時間が100時間を超えたらブラック企業だ!と言われると、意外と短いなと感じる人がいると思います。1日当たり5時間の残業で20日間働けばそれだけで100時間、それに休日出勤が加わると100時間の壁は簡単に超えてしまいます。

僕はかつて残業時間が200時間超が当たり前の職場で仕事をしていました。その当時でも僕はハードに働いていたほうだったと思いますが生活のイメージは次のようなイメージです。

かつての僕

・一ヶ月の休みは2日程度

・一週間のうち3日は会社泊まり

・家に帰る日は最終電車

思い返せばよくこの生活に耐えられたなと思います。今でこそブラック企業や働き方改革のような、長時間労働が悪いイメージのような言葉がありますが、その当時は気合いと根性でなんとかするというのが普通の世界でした。そしてそれに耐えきれなかった面々は早々に社会から淘汰されていきました。

そして、その長時間労働社会を生き抜いた今の僕の生活は次のようなイメージです。

今の僕

・一ヶ月の休みは6日は確保できる

・仕事で会社に泊まってることはない

・遅い日でも終電の1時間前には帰る

一般的なサラリーマンと比べるとまだハードな方かもしれませんが、残業時間は60時間くらいで以前に比べると1/3以下です。もちろん単純に僕のスキルがアップしたことや、社会情勢が変わったことによる変化もありますが、意識的に変えたことを紹介します。

長時間労働から抜け出すためにやっていること

とにかく仕事があっても早く帰る

それができれば苦労はしない。そんな声が聞こえてきそうですが、僕が実際に実践して効果があることは証明されています。長時間労働が染み付いているサラリーマンは、スケジュールを組み立てる時の時間の枠が人より長めに設定されています。

その設定を解除するために、残りの仕事があろうがなかろうが強制的に早く帰ります。初期の頃は、早く帰ってできなかった仕事をどこかで穴埋めしないといけないのであせりますが、根付けば早く帰ることを前提としてスケジュールを組み立てるので問題ありません。

サラリーマンとして期日を守ることは絶対的ですが、その期日自体が相手にとって絶対的とは限りません。それを見つけることができれば早帰りにつなげられるので、日頃からアンテナを張っておくことが重要です。労働時間は短くなっているのにパフォーマンスは上がり一石二鳥になります。(注. 僕は管理職の回し者ではありません)

帰るときの注意ポイント

早く帰ることに後ろめたさを感じているそぶりを見せてはいけません。周りの人たちはそこに付け入り、あなたに「もう帰るの?」攻撃を仕掛けてきます。

「堂々と」または「人知れず」帰るようにしましょう。

とにかくスケジュール帳を埋める

僕の仕事は、デスクワークのように自分だけで完結するものと、会議や出張のように他人と関わるものの2つに大きく分けられます。技術系サラリーマンの僕はデスクワークの時間を多く確保したいのですが、平日の昼間は全て出張で、デスクワークは夜遅くか休日になることもしばしばあります。

その状態を避けるために僕が実践しているのは「スケジュール帳を埋める」ということです。

かつての僕がスケジュール帳に記載していた内容は、会議や打合せ等のように時間が決まっていることだけであり、自分のタスクについては記載していませんでした。「することが何もない日」はないはずなのに、スケジュール帳が空白の日はそのようにそのように感じてしまっていたのです。

そこに、自分でもポンポン予定を入れていたし、他人にもそういう日を奪われていました。しかし、決まった時間の予定がなくてもタスクで手帳を埋めておけば、自分にも他人にも何かしら予定が入っていることが一目瞭然です。そして、それを考慮したスケジューリングをすることで労働時間の削減を実現することができます。 (注. 僕は管理職の回し者ではありません(2回目))

僕が使っている手帳

僕は長らく紙のスケジュール帳を使っていましたが、この度Googleカレンダーに切り替えました。言わずもがなですが、色で予定の種類を分けたり変更になった予定を簡単に移動できたり、便利機能がたくさんあります。

決まった時間の予定ではなく、タスクであることが自分だけにわかるように表示していると、他人に見られた時でもその時間は空いていないなと認識してもらうことができます。

根強く残る。長時間労働至上主義者

「するべきことをした上で早く帰る」ことが良いことは明らかなはずなのですが、長時間労働至上主義者にとってそれは「暇な人」と映るため、暇ならもっと多くの仕事をこなしてもらおう!となります。

この行為は効率よく仕事をこなしているビジネスマンのモチベーションを著しく低下させ、いずれ仕事があろうがなかろうが会社に残るビジネスマンへと変身してしまうのです。

かつて長時間働ける体力を持ったビジネスマンは、それをフルに発揮してビジネス社会を生き抜いてきました。1990年ごろに栄養ドリンクのCMで「24時間戦えますか?」というキャッチフレーズが流行りましたが、現代社会でこの言葉通りの仕事をすると即アウトになりそうです。

長時間労働から抜け出すためには、いかに長時間労働至上主義者から離れるか?というのも一つのキーポイントになりそうです。そして、長時間労働を生き抜いてきた僕も、次の世代にそれを強要しないよう気をつけなければなりません。

追伸 ノー残業デー

「ノー残業デー」というものがある会社は多いのではないでしょうか?。僕の職場ではかつて毎週水曜日は19時になると電気を消すというイベントがありました。実際に電気自体は消されるのですが数分後には全て点灯されていたので全く意味がありませんでした。

お客様あってのこの社会の中で、求められることが変わらないのに働き方だけを変えろと言われても、そう簡単ではないことは間違いありませんが、皆さんの会社での働き方改革の成功例をご教示頂けると幸甚です。