【道をひらく】を読む。普通のサラリーマンが考えること。

Book
道をひらく/著者:松下 幸之助

言わずと知れた経営の神様による著書。僕は普通のサラリーマンですが、経営者目線の考え方に触れることで自分自身の成長に役立つものがあるのではないだろうか?と思いこの本を手に取りました。本書を読んで心に残った文章を4つ紹介します。

かめてつ
  • 短文の121編から構成されているので読みやすい
  • 読むのに要する時間は2時間くらい

評価されるべき時間と成果のバランス

人より一時間、よけいに働くことは尊い。努力である。勤勉である。だが、今までよりも一時間少なく働いて、今まで以上の成果をあげることも、また尊い。

引用:道をひらく

おそらく著者が現役だった時代は、長時間労働に美徳を感じる人が多かったことと思いますが、その頃にこのように考える人がいたということは感慨深いですね。僕が社会に出た頃でもまだバッチリ長時間労働至上主義者がいました。

働き方改革のもと労働時間が削減の方向にありますが、どれだけ成果を上げていても、早く帰る→暇な人→仕事できない人(又はやらない人)、と評価される職場は多いのではないでしょうか?

これは「成果」が定量的に表しづらい仕事が多いからだと思いますが、僕はその不明確な評価を凌駕する圧倒的な成果を残そうと画策しているところです。(ただし、今のところは僕は普通のサラリーマンです。)

時間と密度に対する考え方

ものごとを念入りにやったがために、それだけよけいに時間がかかったというのでは、これは本当にことを成したとはいえないであろう。

引用:道をひらく

時間をかければかけるほど良いものができるというのは普通のことですよね。何事も念入りにやることと時間のバランスで成り立っていると思います。

僕の仕事(建物の設計)は一つの答えというものはなく、時間をかければかけるほど良いものができる可能性は高くなります。ただし、それで決められた期日を過ぎてしまうとその時間は全て水の泡です。

どんな仕事でも作業量と時間はほどよくバランスするのが良いはずで、それを見極めるのが一つの技術です。今までは働く時間ばかりが評価される世の中でしたが、成果÷時間の値が高いことが良いとされる時代がくることを切に願っています。

プロフェッショナルとはどういうものか?

プロとは、その道をわが職業としている専門家のことである。職業専門家とは、つまりその道において、一人前にメシが食えるということである。いいかえれば、いかなる職業であれ、その道において他人様からお金をいただくということは、すでにプロになったということである。

引用:道をひらく

社会に出て覚えることや教えられることが多い時期は、学生気分が抜けない人も多いことでしょう。若手と呼ばれる世代の人には、自分がプロであるという認識が弱い人が多いですが、お金を払う人からすると若いかそうでないかは関係ありません。

仕事に関して論ずるとわかりづらいですが、外食する場合に例えると、シェフが若いので料理を美味しくつくれませんでした、は話しにならないと思います。

若手時代の人たちはプロフェッショナルの意識を自発的に持つことを、ベテランの人たちは若手たちにそれを認識してもらう努力を絶え間なくすることを、再認識させられました。

一人で考えることの限界

時と場合に応じて、自在に道を変えればよいのである。一つの道に執すればムリが出る。ムリを通そうとするとゆきづまる。動かない山を動かそうとするからである。そんなときは、山はそのままに身軽に自分の身体を動かせば、またそこに新しい道がひらけてくる。

引用:道をひらく

建物を設計する場合、同じものを計画するとしてもそのルートは一つではありません。むしろいろんな道を通って辿り着いた答えのほうが説得力がある場合があります。ただし、それは時間とバランスしていた場合の話しで、期日が過ぎると意味がありません。Time is money.とはよく言ったもので、その辺りを見極めた上でいろんな道を通ることが良いと感じました。

そして、自分一人で考えていて行き詰まった場合は周りに相談すると、あっさり解決してしまうことも多くあります。ただし、相談の仕方が悪いとそれもできません。僕は自分なりに辿り着いたゴールを持った上で相談することが良いと常々思いますが、その道も楽でないことは間違いありません。

どんな仕事でも一つの道にこだわることなく、いろんな道を通った上でまずは自分なりのゴールにたどり着く。これが成長への第一歩であり、成功への近道と信じて僕は今日もブログを書きます。

あとがき

本書は昭和43年頃に執筆された本です。およそ50年前に書かれた内容にやっと時代が追いついてきたように思います。当時のこの本に該当する今の時代のものを特定することは困難ですが、様々な本に出くわすことで何十年後かにあぁ読んでいてよかったねと言える読書生活を続けていきたいと思います。

一人の人間が一生のうちに経験できることには限りがあります。結果を残した先駆者たちの経験を、たった二時間で1,000円くらいで書籍を読むことで得られる読書は、コスパがいいのでお勧めします。